2012/10/23

治療例 金属アレルギーのある患者さんの治療

皮膚科で金属アレルギーの検査を受けて、「アレルギーあり」の結果が出た患者さんです。

歯科に来られた時は、手と足にアレルギー反応が出て、皮膚が爛れていました。


いわゆる「掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)」というやつです。

掌蹠膿疱症は手のひらや足の裏に発赤や水泡、膿疱がたくさんできる皮膚疾患です。
皮膚に角化やひび割れができ、皮膚が剥がれ、痛みが出ます。
今回の患者さんの症状そのままです。

原因は不明なことがおおいらしいですが、金属アレルギーでも引き起こされることがわかっています。

そういう理由で、患者さんは皮膚科にて金属アレルギー検査を受けてきました。
結果は、「アレルギーあり」で、銅、コバルト、水銀などが引っかかってきました。

歯科雑誌「補綴臨床」2007年11月号「金属アレルギーへの対処方法」より


銅は歯科の保険治療の金属(かぶせもの、詰め物、ブリッジなど)ではほとんど使われています。

ということで、口腔内の金属を除去することになりました。

と言っても、金属を全部除去したからといって必ず治るとは限りません。
口腔内の金属が原因でこの症状が出ているという保証は無いのです。

生活の中に、触れている金属、例えば、ドアノブや仕事道具、ピアス、アクセサリー、腕時計などでも原因になる可能性があるからです。

でも、原因でなくてもアレルギー物質を口腔内に入れておくのは良くないので治らないかも知れないことを説明、納得してもらって、治療開始です。



金属のインレーを除去して、プラスティックのコンポジットレジン(CR)で詰め替えました。

他の部分に入っている金属の被せ物は仮の歯(TEK)に変えました。

全部除去して1月が経ちましたが、少し症状が減ったのかな?って思う程度で、はっきり改善と言えるほどにはなっていません。

さて、色々調べてみると、
歯科雑誌「補綴臨床」の2007年11月号に「金属アレルギーへの対処方法」というタイトルで、
東京医科歯科大学歯学部附属病院歯科アレルギー外来 松村 光明先生の特集があったので読んでみました。

その中で、原因除去完了してもすぐには症状が改善しないということが述べられています。

歯科雑誌「補綴臨床」2007年11月号「金属アレルギーへの対処方法」より

上段の完全除去2ヶ月程度では、50%以上変化は無く、約12%で明らかな改善が認められるものの、「ほぼ改善」といえるものは3%程度で、「改善」以上を合わせても15%にしか至っていない。
ところが、下段では、再修復をはじめて2年程度経過すると、「改善」以上は58%に達し、「ほぼ改善」から「治癒」の患者は約23%に増加し、変化が認められなかったものは17%に減少した。

と書かれています。
改善がみられなくても、焦らず「平均1年、最長2年程度の経過観察」をするべきだと述べられています。

今回の患者さんも長期で診ていくことになりそうです。

ちなみに、
上の表の金銀パラジウム合金が保険のインレーや被せ物、ブリッジの金属です。
つまり、保険で入っている金属は、銅、パラジウム、スズ、金、白金(プラチナ)、インジウム、イリジウム、銀、亜鉛がふくまれているわけです。
その種類の中にアレルギー反応が出るものがあると、保険の金属は使えないということになります。
結構色々な種類が入っていますよね。


なかなか治らない皮膚の症状がある人は、金属アレルギーを疑ってみるのも良いかも知れませんね。

他のコンポジットレジン(CR)の治療例



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